まんがタイムきらら展見てきた

まんがタイムきらら展見てきた。

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朝から入場整理券を配っているということで修羅場かと思いきや、2時ごろには待ち時間0分となっていたのでじっくり見たい人はそれくらいの時間の来場がおすすめ。物販目当ての人は健闘を祈る。

 

 この展示の構成から考えられるテーマをはじめに述べるなら

まんがタイムきららの15周年記念増刊号を展示にして見せた、という事だと思う。

 

この展示の会場構成について書くと

1.創刊号から最新号までを揃え、まんがタイムきららシリーズの年表を展示したコーナー

2.きらら作家たちの新規書き下ろし4コマの展示コーナー

3.アニメ化されたきらら作品の展示コーナー

4.スマホアプリ、きららファンタジアの展示コーナー

5.きらら展用オリジナルショートアニメ上映コーナー

6.SNS投稿OKなきらら作家イラストボードコーナー

となる。

会場で割かれた展示スペースの割合は2が一番大きかったので、これがこの展示のメインパートだったとわかる。このうち1の年表と2の書き下ろし4コマは会場と同じものが図録に掲載されている。また3、4も全てではないが掲載がある。図録を読んでみるときらら作家によるフルカラーイラストと4コマを集めたきららタイム雑誌を合本したオールスター大増刊号という趣きである。同じ本という形式なのでそう感じられるのはなおさらだ。

展示パートの大部分が図録にも収められている新規書き下ろし4コマの展示なら、実質増刊号としての意味合いが強い図録を展示バージョンにして公開した、と言い換えられるのではないか。というわけで先ほどの増刊号を展示にした、という言い方になった。

 

では、どのように展示が行われていたのか、というのがポイントになってくる。図録を買えば充分だった、と来場者をがっかりさせない、リアルイベントならではのプラスアルファがなくてはいけない。

まず一つ言えるのは音声ガイドの存在だ。

democraticforest.hatenablog.com

上の記事でも書いた通り、値段が通常の展覧会の音声ガイドより割高になっている。ただこの展示を見にくる客層を考えれば東山奈央水瀬いのりの音声代などどうということはないだろう。

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というわけでゲット。

各所に音声ガイドのボタンを示す掲示がされていて、指示されたボタンを押すとその箇所に合わせた音声が流れるというオーソドックスなものだった。ただ、キャラクターの画像が表示されるのには少し驚いた。また冒頭部はタイミング的に展示室の外で聴く方がよく、順番待ち時に聴けるという配慮だったのだろうか。きららジャンプの初出はアニメ版けいおん!というちょっとした情報を教えてくれるなど、音声ガイドの役割を果たしていた。ただ、どんな展示にも言えることだが、混雑している中で音声ガイドを聴くと、人が会場に滞留してしまい、展示の流れを妨げてしまう。今回のきらら展も会場のキャパ、導線で音声ガイドまで聴いてしまうと人をスムーズに流せない(必ずしも人の流れがスムーズであることが展示として良いわけではないが)問題が生じていた。

次に2のイラスト、新規 書き下ろし4コマの展示パートについては残念ながらオーソドックス、というかあまりひねりの無い展示方法だったと思う。壁面にイラスト、その手前のスタンド台座に4コマという形式で、やはりみんなここでじっくり読んでしまうため、これも滞留の原因になっていた。例えば4コマを壁面、イラストをスタンド、という形にしたら、壁面なら人混みの中でも見やすく、滞留を軽減できたのではないか。あるいは一コマずつスライドショーにするなどの試みがあってもよかったかもしれない。残念ながら会場内では全てに目を通すことはできなかった。お気に入りの作品だけ見て、あとは図録で、というのがベターな見方だろう。

3、4のコーナーもあまり効果的ではなかったように思える。きららファンタジアのコーナーについてはスタンディ後ろにある壁のボタンを押すとキャラのゲーム内セリフ音声が流れるという仕組みだったが、正直どうでもよかった。

特筆すべきは公式HPに乗っていないオリジナルショートアニメのコーナーだ。

 というわけで、このショートアニメがとても良かった。下記はMAD。


榎戸駿(Shun Enokido) Sakuga MAD ver 1.1

最近ではfate/apocryphaでも活躍している元きらら出身のアニメーター、しかもアクションが得意という異色ながらこの人しかいない、という人選。最低でも10回はループしてほしい。とはいえこれは展示だけでなく、公式HP等で公開して欲しいと思う。このインパクトがなければ展示の印象が全く違っていたと思う。

イラストボードコーナーについては既にSNSに情報が流れているので、特に語らない。

 以上、やや辛口にはなったが、きららタイムがいつも誌面でやっている事を、メディアを変えて、あえて展示としてやる、というチャレンジは興味深かった。例えばアニメ業界ならTVアニメで人気を博した作品をOAD化し、映画館で上映するなど、テレビから映画館へ場所を変え、イベント、ファンミーティングとしての上映を行って収益を得る場を増やしている。マドガタリ展のようにアニメの制作スタジオが展示を行っている例もある。森アーツセンターでの週刊少年ジャンプ展も記憶に新しい。その流れを汲んで開催した今回のきらら展、誌面から展示へ、という芳文社の今回の試みを評価したいと思う。

*図録について書き忘れたが、インタビューには作家だけでなくデザイナー、書店員のものまで掲載されていたのが印象的だった。