企業CMあるいは広告としてのアニメ作品について
今やアニメは全年齢層に刺さるツール、アニメを使ってターゲット層に訴求しよう、短尺アニメによる広告、PR戦略が今の時代に打ってつけ、アニメスタジオと企業との橋渡しを電通がやります、よろしく。という記事。
企業広告をアニメで、というのはもはや珍しくない。
コミックスウェーブフィルムと新海誠監督によるアニメCMはだいぶ前から話題になってたし。
そういや日清もだいぶ前からアニメCMやってた。
マクドナルドのCMをスタジオコロリドが製作したり。
しかし、こうした日本アニメへの注目度に比べると、
海外市場でのマーケティング活用事例は、まだそこまで多くありません。
アニメを活用したマーケティング・ソリューションをより高度に、
広範なものに進化させていきたい。
そんな思いのもと、電通は今年10月22日(アニメの日)、
グループ横断組織「Dentsu Japanimation Studio」
(電通ジャパニメーションスタジオ、以下DJS)を立ち上げました。
との事。
ガンダムだってプリキュアだってある意味では玩具を売るための販促ツールなので、動画コンテンツ全盛の今、アニメを広告目的に活用しましょう、というのは先祖返りというかごく当たり前の自然な流れだと思う。最近ではアプリゲーの販促のためにまずアニメを作ってファンを増やし、そこからゲームをリリースしてファンを動員しよう、みたいなパターンも数多くある。
例えばウマ娘。
例えが悪かった。アニメが一応終了し、ゲームリリースのはずがいまだに配信されず。
【あかねさす少女】提供終了のお知らせ
平素より『あかねさす少女』をご利用いただき、ありがとうございます。
『あかねさす少女』は皆様にご支援いただき運営を行ってまいりましたが
まことに勝手ながらサービスを終了させていただくこととなりました。
アニメが最終回を迎えたタイミングでまさかのサービス終了のお知らせ・・・。
一部に愛されたアニメ、ファンタジスタドールもゲームが早々に終了。だけど、なぜか10日後に復活、そしてまた眠りにつくというドラマチックな展開があったそうな。
そういえばけものフレンズはアプリが鳴かず飛ばず、しかしアニメがヒットしてコンテンツ自体が復活、今では複数のアプリがリリースされる状態に。
とはいえ最終的にはこういう事態に至ったのですが・・・。
けものフレンズは、アニメ作品がコンテンツ全体を再浮上させる奇跡の逆転劇を起こした例でもあり、その一方で、奇跡を起こしたが故にファンの作品への愛が巡りめぐって親会社にまでダメージを与えてしまった例でもあった。まあ、これは特殊な事例のはず。
「アニメ×マーケティング・ソリューション」に取り組む上で、私たちが大切にしている考えがあります。
それは、
アニメ広告を作るのではなく、アニメ作品を創る。
ということです。
広告会社の人間がこんなことを言うのはおかしな話ですが、
「作品を主に。広告を従に」という考えをクライアントとも共有して、
プロジェクトを推進しています。
これは、私たちが実施した案件に対する検証からも見えてきていることですが、商品・サービスを前面に押し出さなくても、一つの「作品」として優れたものを送り出せれば、むしろそちらの方が視聴者は企業やブランドに対してポジティブな感情を持ってくれます。
あくまでも「良いアニメ作品」であることが、結果的には企業のブランド価値を高めていくコンテンツになるのです。
自動車メーカーのスバルがGAINAXとコラボして製作されたアニメ、放課後のプレアデス。 のちにTVアニメにもなったけど、それ以前にyoutubeで公開されたバージョン。魔法の杖の効果音がスバルの車のエンジン音という以外、そこまで車を前面に押し出した作りにはなっていない。個人的にはTVアニメも含めてとても好きな作品だし、この作品を産むきっかけとなったスバルに対しても当然悪いイメージは持っていない。このアニメでスバルへの企業イメージが上がったかというと微妙だけど、自分が持ったくらいの微妙な好意を獲得できるだけでも企業としては大成功なのかも。
というわけで作品ファーストを打ち出すDJSの言葉はとりあえず前向きに受け止めたい。ウマ娘はいいアニメだったし、あかねさす少女もそんなに悪くなかった。どんな経緯にせよ産まれたアニメ作品はとりあえず残るのです。そこはポジティブに捉えたい。だからこそ、作品ファーストと言っていく事は大事。
以上です。