音声ガイドの相場を調べてみた

またも調べてみたシリーズ。いちおうコンセプトはNaverまとめよりは有用な情報と切り口。だけど前回はNaverまとめよりも無のページが発生。気を取り直して今回は展覧会でよくある有料音声ガイドについて。

今回音声ガイドについて調べようと思ったのは、きらら展の音声ガイドが800円という記載を公式HPで見たから。

www.kiraraten.jphttp://www.kiraraten.jp/voiceguide.html

またきららか、SEO対策、キーワード連打か?と思われても仕方ない。それはさておき、800円って高くないですか?高くないですね。きらら展行く客層は声優の声を聞きながら展を回るって事に価値を見出すからそれくらい普通に払うよね、ところでほかの展覧会は音声ガイドいくらだったか?

www.kowaie.com

怖い絵展¥550。

www.ntv.co.jp

ルーブル美術展¥550。

www.escher.jp

ラクエッシャー展¥550。

pushkin2018.jp

上坂すみれが音声を担当したプーシキン展¥550。きらファン展を考えるともっと取ってもよかった。

というわけでだいたい一律¥550。なんかカルテルみたいですが。

これらをざっと見て見ると人気の俳優や声優をスピーカーにして新規客を呼び込む手法は当たり前になりつつある。

realsound.jp

ここまでは一般的な理解ではないでしょうか。

さてこれらのページを見てると音声ガイドを提供している会社がだいたい同じという事に気がつきました。

音声ガイドのパイオニア|アコースティガイド・ジャパン│音声ガイドの企画・制作・運営│美術館・博物館・旅行

http://www.acoustiguide.co.jp/index.html

はい。まんがタイムきらら展もこの会社です。

貸出中の会場 │音声ガイド 企画・制作・運営 アコースティガイド・ジャパン│美術館・博物館・旅行

他にも新海誠カードキャプターさくら展からムンク東山魁夷展まで、というか国立博物館から宮内庁までやってる。業界最大手なのかな。入社したい。

沿革 │音声ガイド 企画・制作・運営 アコースティガイド・ジャパン│美術館・博物館・旅行

社史を見てみるとアコーティスガイド社の日本法人とある。

「アコースティガイド」社について│音声ガイド 企画・制作・運営 アコースティガイド・ジャパン│美術館・博物館・旅行

ハイドパークにあるルーズベルト大統領の家の見学ツアーを制作。 ルーズベルト夫人が自宅内を案内しながら、英国王ジョージ6世やエリザベス女王の訪問など個人的な思い出を語ったガイド。 ある利用者からのコメント「このオーディオガイドを聞いていると、内緒話をこっそり打ち明けられているみたいだ」

この書き方だとはじまりはガイド業だったんですかね。

1960年代からカセットによるオーディオガイドをはじめて一般化し、やがてデジタル化し、今ではスマホのアプリに。という流れのようです。スマホのアプリの音声ガイドを見かけた事はあるんだけど、あんまり変な所のアプリ入れたくないなと思ってスルーしてました。由緒ある会社だった。

大手の会社の社史を見たら簡単なオーディオガイドの歴史を学んでしまいました。調べてみるものです。

では最後に個人的にオーディオガイドをうまく活用したなと思う展覧会を紹介。

impurityimmunity.jp

昨年の10月ごろに東京のトーキョーアーツスペース本郷で開催され、その後沖縄のBARRAK1でも展示が行われた「不純物と免疫」展。ワイヤレスヘッドホンを入り口で渡され、会場内に複数設置されたポイントに立つとその近辺に展示されている作品についてキュレーターが解説をしてくれるという仕組みになっていました。ゲストとのトーク形式で話が進み、作品の設置意図、作家の紹介や展示に呼んだ経緯などを知ることができました。美術展というとガチ勢からは人の解説を聞く前にまず自分の目で見て考えて言葉にするのが本道、オーディオガイドで解説を聞くなど邪道、という雰囲気がありますが、本展でキュレーターの言葉を聞きつつ作品を見るという体験は決してチートであるどころかむしろより豊かにな物になったと思いました。キュレーターの長谷川新氏が言っていた、展示のインフラをより明らかにする、という言葉が印象的でした。

もういっちょ

themassage.jp

今年の2月に原宿のBLOCK HOUSEで行われた永田康祐氏と大岩雄典氏の二人展「明るい水槽」。これはオーディオガイドの作品解説を聞きながら鑑賞するスタイルだったのですが、使うヘッドホンによって解説が異なり、同じ会場の同じ展示なのに違う意味合いを帯びてくるという内容でした。行った時それに気づけずつくずく残念・・・。とはいえAmazonのechoやエスプレッソマシンなどを家電や生活用品が複雑なレイヤーを前に独特な音声の解説を聞くと複雑な文脈を帯びて違って見えてくる面白い鑑賞体験でした。

というわけで目論見通り最初のきらら展のオーディオガイドの話からだいぶ脱線して、最後まで読むと割とディープな場所まで連れて行かれるという記事を書きました。こうして見るとオーディオガイド、やり方次第でまだまだ面白くなるなと思えたはず。とりま、きらら展のオーディオガイドどういうコンテンツが提供されるのか楽しみに¥800払う気満々で行こうと思ってます。