monoとそこで描かれる今のカメラのあり方について

ゆるキャン△のヒットで有名になったあfろ氏の4コマ作品、monoが発売になった。表紙を見るとリコーのtheta(作中ではヴィータ)で撮影する姿が大きく描かれているけど、作中でもこの360度カメラが大活躍。そもそも話からして、大好きな先輩がいるから入った写真部で、スマホだけで先輩を撮影していた主人公が、先輩の卒業後思い立ってデジカメをオークションで購入した、そのカメラこそがこのヴィータなのだ。写真部員のメインカメラが360度カメラ。新しい。

ちなみに表紙の次のページからしてこれである。

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togetter.com

ゆるキャン△開始当時(未見だけど前作もそうだったらしい)から魚眼、360度カメラを駆使した構図を使っていたのはわかっていてそこに新鮮さを感じていた。もちろん魚眼パースの使い手は他にもいるけど、今の時代の写真を使ったSNS上のコミュニケーションとしてポピュラーになりつつある形式のカメラアイを、作品の背景と地続きにしてふんだんに作品上で用いているのに感銘を受けた。と思っていたらここまでそれを前面に押し出した作品を同時期に連載してたと知らなかったのは不勉強だった。

 主人公の友人もアクションカムを購入して、猫や凧に付けて撮影するという従来の写真部ではやらなそうな活動を始める。そして人数が足りなくて廃部を通達された写真部を映画部を合併させ、その名もシネフォト部に変えて活動を再スタートする。動画とスチルの融合というのはデジカメ業界で5年、10年前くらいから言われてきた事だけど、カメラを動画とスチル両方撮る物として現実の学校の写真部で扱うというのはそれほどないのではないか。この作品の発想が先取りしていると思う。f:id:oktm3:20181027204135j:plain

 また、彼女たちをモデルに描く漫画家ハルさんの友人は胸にgoproをつけている。彼女はツーリング動画を投稿していて、実際にそういう動画を撮影している人達にとってgoproをチェストハーネスで胸につけて撮影する方法もポピュラーなようだ。

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youtu.be

というわけで今やカメラといっても一眼レフやミラーレスだけではない。今やカメラはスマホをはじめとしてアクションカムなどいろんなバリエーションを増やし、その扱われ方も様々になっている。そういう時代を背景に、シネフォト部はこれまでの写真部の活動から明らかに逸脱した行動を取りはじめている。

 我々(自分は写ルンですが写真の原体験の世代)がイメージしているカメラとは別のツールを彼女たちは手にしている。

そう痛感しながらおっさんがこの漫画を読んだ時の顔↓

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というわけで次の巻が出るのを楽しみに待っている。